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2015.09.18

天然の匂いは天然の脱臭方法で

当記事は公開後のアクセス数がとても多く、皆様にお読み頂いております事に心から御礼申し上げます。

私たち横浜ウッドでは安全かつ日本の伝統的な漆塗りの製法に則った食器づくりをしております。

当記事でご説明している脱臭法は天然漆の匂いの脱臭法のため、木製食器であっても一般流通している化学塗料、化学素材、合成着色料、その他類する素材や化学薬品等を用いた製法による食器の脱臭には効果がございません。ご容赦の程、何卒宜しくお願い申し上げます。(2021年1月19日:追記)

 

まず横浜ウッドの食器はなぜ匂うのか。この点をご案内致します。

 

安全な木製食器を製作するにあたり、下塗り(目止めといいます)に漆と瓦土を練り混ぜて塗りこむ、昔ながらの製法で処理しています。
この下処理は耐水性を高め、漆自体の抗菌作用によりご使用中の腐食やカビの繁殖を抑え食器を長持ちさせる効果があります。表面の漆塗りが摩耗しても塗り直しを行うことで食器を永くお使いいただける古来からの製法です。しかし漆と木本来の匂いが混ざりあいます。

 

 

画像:目止めの工程漆と瓦土を混ぜて塗り込んでいく主な匂い物質の原因です。

 

画像:目止め後に水で研磨したお椀。ここから本塗りをしていきます。
本塗り前のこの段階で凝縮した漆の匂いがします。

私たち横浜ウッドでは、例えば消臭剤を入れたり等の処理は一切致しません。そのためこれらの匂いもそのままに販売しています。なぜでしょうか?
私たちのものづくりへのこだわりはちょっと長くなりますので当記事の末尾でご説明いたします

 

 

以降、この匂いの取り除き方をご説明致します。

漆の匂いはご使用数回で消えてまいりますが、匂いが気になる方はこちらの脱臭法をぜひお試しください。

 

古来からの風習として、新品の漆器は米びつの中に入れて脱臭してから使用するという文化がありました。もはやほぼ見かけなくなった風習です。
しかしこの方法、実は理にかなった合理的な方法です。お米の糠には乳酸菌が含まれます。
この乳酸菌は漆の臭素を分解する効果があるのです。
昔の人は自然の匂いを事前の作用で取り除いていた訳ですね。

 

もし匂いが気になる場合は、早速ご家庭でも試してみて下さい。
昔は米びつに大体1カ月程度入れていましたが、簡単に試せる方法をご紹介致します。
米のとぎ汁に小一時間漬ける。簡単ですね。

 

上でご紹介致しました米びつによる脱臭方法と同じような効果が期待できます。

 

画像:玄米のとぎ汁を使用しているため濁りがないですが、米のとぎ汁です。

 

あくまでも小一時間以内に留めて下さい。長時間の漬け置きは腐食とカビが発生する可能性を高めてしまいます。

 

画像:食品が触れる食器内部にとぎ汁を入れて、小一時間の脱臭をしている様子。このように簡単に脱臭できます。

 

 

その他、ぬるま湯にお酢を数滴混ぜて、柔らかい布に付けて製品表面を拭く。
ぬるま湯に重曹を混ぜ、柔らかい布に付けて製品表面を拭く。
これらの方法でも同じような効果が得られます。ぜひ試してみて下さい。

 

同一の内容は、よくあるご質問コーナーにも記載しておりますが、より詳しくこちらの記事でもご紹介させて頂きます。

 

横浜ウッドのものづくりについて

 

当記事冒頭でも少しご紹介した私たちの食器作りについて、工程別により詳しくご説明した記事がございます。
よろしければぜひご覧ください。

横浜ウッドの製品ができるまで(木地加工編)

横浜ウッドの製品ができるまで(塗装編)

 

私たち横浜ウッドではあえて消臭剤などは使わず古来の製法に由来する匂いもそのままに販売しています。

それは人体や環境に有害な化学物質を一切使わない、安全性の追求という私たちのポリシーでもありますが、漆塗りは日本に伝来して約1500年程の歴史があり、本来の漆の、漆器の香りを体感頂きたいからです。

今は純粋漆の香りを嗅いだことがないお子さんも多くいらっしゃると思います。
特に初めてご使用を頂く際には、白湯で香りを体感頂きたいです。
この香りは伝統ある文化の香りです。

当記事では脱臭法もご案内いたしましたが、この脱臭法を行わなくてもご使用数回で熱により呼吸を取り戻し、無臭となります。その短い期間を是非楽しんで下さい。

地球上の天然物で、これだけ硬化する塗膜となるとても貴重な漆文化の香りをより多くの方に知って頂けることを私たちは願っています。安全かつ再生可能で、環境にも優しいから継承され続けた人類の文化の香りだからです。

安全性についてはこちらの溶出検査等の記事をご覧下さいませ。伝統がなぜ伝統となったのか、弊工房では科学的にも見える化しています。

⇒横浜ウッド食器の安全性、検査結果について