有限会社TOMATO畑
今回の記事は久しぶりのQ&Aシリーズです。
何それ?って皆様、Q&Aシリーズは文字通り、木の食器の疑問やTOMATO畑に寄せられたご質問等々を
専門企業としてバシバシお答えしていくという、木の食器業界だとあまり見かけないコンテンツです。
※ちなみに最近連載している新作開発秘話シリーズのラスト記事にもなっています。
ではご質問を。
Q 「もうキナリ色は作らないの?」
※新作3型にキナリ色が無いので。
このお問い合わせ…本当に多いです。工房としては、色までしっかり把握してご興味を頂けている証ですので、
最高に嬉しいお問い合わせです。有難うございます!
早速お答えを。
A 「しばらく作らない(作れない)予定です。」
既に発売している製品群のキナリ色在庫が最終です。完売次第終了となります。
下の画像をご覧ください。
過去作や新作にも一貫して使用されているウルシ色。
この漆(木の樹液)は退光現象と言って、太陽光等の影響下で少しづつ透明度が増していきます。
その現象を写真に収めてみたのが上の画像です。
ウルシ色1は発売開始したばかりの元気セットの器。
ウルシ色2は約3年ほど使用した過去の大深皿(完売)。
ウルシ色3は約2年ほど使用した過去の大深皿(完売)。
かなり変化していますよね?
しかも綺麗な木目が見える透明感溢れる色に。
ウルシ色1(作りたて)から2や3のように透明度が増して変化していくのですが、
2と3に関しては木の取り位置や木理の詰まり方によって、色感に個体差が発生する例です。
こういう2と3のような個体差の要因に沙樟(さしょう)と呼ばれる現象があったりするのですが、
このあたりは、また今度詳しく記事にしますね。
つまり…
ウルシ色=透明感が増して木目が透ける綺麗な色に!という訳です。
この現象、皆様の印章と逆じゃないでしょうか?
「え!?色が濃くなるのかと思ってたよ!」…ですよね?
上の疑問については、何年も使用した実例食器をご覧頂きつつ過去記事でお答えしているんです。
※製作時は全て同じ位の色感であった事を念頭に、以下の画像をご覧ください。
◆ 製作しては完売を繰り返した1枚板をくり抜いて作る2段弁当箱:右が新品
◆ 各地のマクロビオティック料理教室さん等でご導入頂いていたターナー(完売):左が新品
ここで 「…あれ?」 とお思いになった皆様…そうです!
ご使用時間と共に、色が濃くなったり、薄くなったりしていますよね?
何が違うとこうなるの?を過去記事にしています。
そしてなぜキナリ色は当分作らない事になったかと言うと…
現状公開し続けている大幅減産の状況に伴い、色分けして製作する程に個数が無くてですね…
1色の展開せざるおえないなら、どちらかの色にするか、検討に検討を重ねた訳です。
上に書いた色変化の詳細は、ご覧頂けた通り
ウルシ色は透明感が増してくると、キナリ色と同じようなイメージでご使用頂けると思うんですね。
※もちろんキナリ色になる訳ではありませんが。
漆が濃い:和風が強い。→漆が透明になってきた:和洋中を問わない。
※キナリ色は当初から和洋中を問わない印象を目指して作ってきました。
という一連の考察と検討から、現在の減産状態時は漆のみで塗装しようとなっている訳です。
キナリ色がお好きな皆様にはガッカリされてしまうかもしれませんが…
ウルシ色は、ご愛用頂けるとキナリ色に近い透明感が得られます。
そのエイジングをふまえて、ぜひウルシ色もお楽しみ頂きたいですね。
新作の3型も、このエイジングを楽しんで頂ける企画となっています。
【今回登場したTOMATO畑食器】
※製作数の約3%~5%程度しか発生しない、天然の染み、節、傷が無い部位で
作られた希少な個体を今回から特別価格で販売致します。詳細は次の記事に記載致します。
※専用のサイズで特注したギフト箱に封入しラッピングした贈答用です。