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2015.10.13

ゆったりマグに取手を付けない理由(木の豆知識)

冒頭から別件なのですが、限定品そりわん大はまもなく入荷予定です。

今週から来週以内には発売出来そうですので、その際には改めて限定品取扱店の皆様を

一覧でご紹介致します。各店様の販売開始と同時に、ダイレクトストアでも同日に販売開始

を予定しています。今しばらくお待ち頂けましたら幸いです。(→限定品そりわん大の詳細

 

では本題です。

先日、TOMATO畑スタッフによる食器活用術という記事で、マグ等について公開したところ

さっそく以下のようなお問い合わせを頂きました。(→食器活用術の記事はこちらです

 

Q.ゆったりマグにはなぜ取手を付けないのですか?

  取手があった方が使いやすそうです。

 

 

同一内容のご質問を発売時から度々頂き、その都度お返事をしておりましたが

ものすごく嬉しいご質問なので、いつもお返事で書いている事を記事にしてみます。

 

まずこのゆったりマグ、ロクロ成形で製作しています。

ちなみに写真は私です。

ロクロ成形とは伝統技法の1つで、高速回転する機械に木地を取り付けて、自作の刃物で一気に挽いていく技法です。

この技法を挽物技能と呼びます。この挽物技能、物理的に左右対称(シンメトリー)にしか作れません。

高速回転する木に刃を当てて、削って形作るからです。つまり、この技法では取手付きマグは作れません。

※もっと挽物技能を見たい、知りたい方はこちらをご覧下さい。(→木地製作の工程

 

 

では取手付きのマグを作る場合、どういう方法があるでしょうか?

 

上の写真はご好評にて度々完売しております、くり抜き2段弁当箱を文字通りくり抜いているところです。

このようにくり抜いたり、研磨成形して取手を残した状態で成形していく訳です。この機械はルーター機と言います。

※このくり抜き製法をもっと見たい、知りたい方はこちらをご覧下さい。(→弁当箱のくり抜きって?

 

上記のくり抜いて研磨成形する製法は、非常に手間と時間がかかります。

結果として、価格が高騰してしまい、日常品の価格をはるかに上回る事になります。

では、価格を上げずに取手があるマグを作る方法…ほかに思い付きますか?

 

そうです。接着剤でくっつけちゃう製法です。

結構見かけます。

 

TOMATO畑では、安全の理念から化学的な接着剤を使用しません。

だから弁当箱も何でも1枚板から作るんです。マグも同じでわざわざ取手を接着したりしません。

だから敢えて取手を作らないんです。

 

何よりも重要な事は以下になります。

 

木の食器は陶器やガラスと違い、断熱性が高い(繊維の塊なので空気の層が防熱します)ために

熱くて持てない等の事態になりにくく、取手を付けたり作ったりする必要がないんです。

この自然素材の素晴らしさは他の形の製品でも利点だらけです。例えば汁椀。

アツアツのお味噌汁をタップリ入れても、熱くて持てない等になりませんよね。

この繊維質による空気の層は、保温性も高く、適度な湿度を保つ効果もあります。

これ…弁当箱をお昼に食べてもベチャベチャになりにくく、パサパサにもならない自然素材の素晴らしさです。

だから敢えて、ゆったりマグには取手を付けていないんです。

 

 

ついでに、今日まで色々試行錯誤してきたマグの歴史を振り返ります。

 

 

左:約6年前に開発したマグ。タンブラーとして販売していました。

中央と右:フリーカップという名称で限定販売した製品。

どちらも完売しています。

 

 

左:現在のゆったりマグの試作品。側面を垂直に仕上げてみたバージョンです。

オシャレですが、私たちの求める使いやすさではなかったのでNGに。

中央と右:現在販売している限定品ゆったりマグのウルシとキナリです。口周りに向けて外に広がった側面です。

 

まずタンブラーなのですが、用途が限られていて、もう少し小さめにして欲しい等々の色々なご意見を頂きました。

結果として生まれたのがフリーカップ。このフリーカップは発売後すぐに完売してしまいましたが、やはりまだ大きい

というご意見が多かったんです。

 

結果として開発したのが、現在販売しているゆったりマグです。マグとしてだけではなく、蕎麦ちょこや野菜スティックを

入れて頂いたり、おやつ用のカップにして頂いたり等々、サイズ感をここまで開発し続けた結果、本当に多用途な形に

たどり着きました。

 

こんな使用感です。

 

今後は、このようにお問い合わせを沢山頂いた内容に関しては、個別にお答えするだけではなく、

当サイトで記事としてご覧頂けるように、定期的に公開してQ&Aコンテンツを増やしていきますね。

お読み頂き、有難うございました。