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2015.10.05

木の食器はエイジング(色変化等)を楽しむもの

永らく完売していました くり抜き2段弁当箱 の再入荷もあり、出荷が相次いでいますので、早速記事にしたい事がございます。

こちらの画像をご覧下さい。下の写真の弁当箱です。右と左の製品の違い…何でしょうか?

そうです。色濃度が違います。

右の製品が濃くて、左の製品が薄いですよね。

 

実は右の製品が作りたてホヤホヤで、左の製品が使用して1年弱の状態なんです。

なんとなくイメージで、色は時間と共に濃くなっていく気がしませんか?

実は逆なんです。これが漆の性質なんです。

 

漆は主に自然光等の影響により、透明度が増します。退光現象と言われる作用です。

下地の木目や木本来の色感が顔を出して、例えるなら琥珀色のような綺麗な色合いに変化していきます。

くり抜き2段弁当箱も同様です。現在、出荷しております製品群は文字通り作りたてのため、色が濃いです。

 

ご愛用頂く頻度にもよりますが、

少しづつ美しい木目が見える色になっていきます。

ぜひ意識して育てる感覚で楽しんで頂きたいです。

(塗装被膜が物理的に薄くなっていく等は通常使用で発生しません。あくまで透明度が増す作用です。)

 

 

その他の製品ではどうでしょうか。こちらをご覧下さい。

右が作りたての色が濃い状態(ウルシ色)

中央が約1年経過した状態(ウルシ色)

左がこだわりぬいて使用している食用ウレタンのキナリ色

 

色名:ウルシは全て漆塗りです。

このようなエイジング効果を永くお楽しみ頂ける訳ですね。

 

更なる豆知識ですが、この色感の変化を発生させている伝統的な塗り方の技法、過去の記事でご紹介しています。

→拭き漆という技法(6回以上重ねて塗って仕上げます)

 

 

次に少し上の記述で触れた食用ウレタンで塗った製品について書きます。

まずこちらをご覧下さい。見出しにもあった写真です。

 

これ…全部同じ製品なんです。栗の木で作った 定番のターナー です。

右が約4年経過した状態

中央が約1年経過した状態

左が作りたての状態

素材、下塗り、本塗り、全て同じものを使用しています。

 

あれ?と思いましたか?そうなんです。上に書いた漆の透明度が増す作用と逆に、濃くなっていますよね?

これも実はすごい作用なんです。まさに自然の力。

 

TOMATO畑食器は化学薬品を使用した処理等も一切しません。

結果として、製品になった後も木が自らの力で抗菌作用をだすべくタンニン(渋)を自生するんです。

そのタンニンが主な成分として色を濃くしていく訳です。

 

TOMATO畑製の全ての製品が、もれなく化学薬品処理をしませんので、この自然の抗菌作用を発揮します。

もちろんご家庭でもです。本当に感動しますよね。木自体が自然の力で清潔に保つんです。

この自然の作用を殺さずに作る製法こそが安全な製法(400年以上続く煮沸処理による製法)なんです。

 

→100度の熱湯だけで防腐防カビ処理をする技法(24時間以上も煮続けます)

 


 

今回の記事も「そうなんだ~!」と感動して頂けたり、木の食器についてよりご興味を頂けたらと思って書きました。

 

例えば革製品。

永く使ってエイジングを楽しみイメージ…ありますよね。

例えばデニム。

永く履いて色落ちを楽しむイメージ…ありますよね。

 

木の食器も同じです。

経年変化(上記に書いた通り、これは確実に経年劣化ではないですよね。

自浄作用を伴った素晴らしい変化です。)を楽しみながら、永くご使用頂くものです。

これが自然素材を1つ1つ手作りする製品の醍醐味であり、木の食器の文化的側面です。

 

全ての製品がこの記事にあるエイジングを楽しんで頂ける製法なのですが、

特に目に見えて分かりやすくアジが出る感じといいますか、アンティーク感が増すのは栗の木で作った製品です。

栗の木はタンニンの自生量が多い木の種類だからです。

→栗の木で作ったターナー

→栗の木で作ったしゃもじ

 

その他ですと、カトラリーシリーズ(楓の木と上で書いた栗の木)も色変化をより楽しんで頂けるシリーズになっています。

→楓の木や栗の木で作ったスプーンとフォークシリーズ

 

ぜひ育てる感覚で愛着を持ってご愛用頂けたら本当に嬉しいです。